社畜な鯱狗の妄想雑記

吾唯足知、即身仏。南無、阿弥陀佛。

2017-05-11から1日間の記事一覧

路傍の神話

✳︎【一】人は。誰しも、一粒の種を握り締め、生まれてくる。霜に閉ざされ、懸命に言葉を覚えて、引き換えに、雪解けの地表の、いったい何処に、芽吹くというのか。どうしたって、思い出せないのだ。【二】陽は。二人の子を成した。此岸には火星。全知にして…

トカゲの小唄

✳︎ワタを切って、クビを切って、このトカゲはまだ、息をしているよ。御覧なさい、手足がもぞもぞ動いてる。後生大事に、尻尾を守っているンだね。トカゲが何か、言ってるよ。蝶々が恋をするのなら、蛹の中でどろりとした芋虫は、微睡みながら、いったい、ど…

怪物は

✳︎学校の中庭に、デンと構えた焼却炉の、赤黒い舌でもって、ぐわららぁ、ぐわららぁ、と、夜毎に私を、責めるのです。手前は幸せにならねば、ならぬ。手前は幸せにならねば、ならぬ、と。だから、私は慄きながら、裏庭に、ヌッと聳えるトーテムポールに、訊…