【11】そして「主役」は内藤、「ライバル」がオカダの時代へ…
✳︎
話をオカダに戻しましょう。
「ライバル不在」のオカダのための、「2億円プロジェクト」という「マクガフィン」を通じた、内藤の格上げ。
この時点で、「主役」は「スマートすぎるストンコ+ロック」たる内藤に移ります。
すなわち
「内藤がオカダのライバルになる」
のではなく、
「オカダが内藤のライバルになる」
必要に迫られるということ。
そしていよいよ、木谷オーナーの「操り人形」たる、究極の「サラリーマン・レスラー」オカダの本領が発揮されていくわけです。
まず第一に、オカダには、棚橋から引き継いだ「エース」の役割があります。
いわゆる「レインメーカー・ショック」というのは、ようするに
「加齢に苦しみながらも恐るべきプロ根性で『太陽のエース』を続ける棚橋が力尽きる前に、若くてデカくて華のある優等生のオカダを急造エースに仕立てあげる過程を目の当たりにさせられたショック」
とも言うべきもので、つまりは、そうまでしてオカダを急造エースに仕立てあげなければならないほど、若手〜中堅のエース候補不足は深刻な状況でした。
「エース」であるからには、その立場はベビーフェイスです。だから、オカダはCHAOSメンバーの介入などの手法は使わないし、使えない。
(ヒールユニットとして形骸化したCHAOSについての考察は、おいおい触れたいと思います)
ところがそこへ、今度は「スマートすぎるストンコ+ロック」たる内藤の「ライバル」という役割を加えなければならなくなった。
そう…これが、なかなか厄介なのです。
トリプルHは、これはもう見事なまでにヒールです。
体制側の悪徳レフェリー(下手したらシェインだったりする)と結託した反則、凶器攻撃は当たり前。パレハ…じゃなくてボディガード兼愛人?(笑)のチャイナを始めとした、介入も日常茶飯事。
孤軍奮闘する「ピープルズ・チャンプ」たるロックを応援する観客達をヒートさせること!まさにヒールの鑑ですね。
…さて、もうお気付きでしょうか。
この構造、そのまま単純には、オカダvs内藤には当てはめられないことに。
だって「ストンコ+ロック」たるべき内藤が、パレハの介入を始めとしたダーティーファイト。
片や「トリプルH」たるべきオカダが、ベビーの「エース」として孤軍奮闘。
そうです、完全に「ねじれて」しまっているんです!
この難題。
しかし結論から言えば、木谷オーナーは、実に鮮やかなアイデアによって乗り越えてみせました。
以前、鯱狗は【7】において、こんな宿題を残しておりました。↓
《実のところ鯱狗は、オカダの「今」の本質は「作られたチャンピオン」ではなく、「作られた◯◯◯」である…という結論を用意しているのですが、まぁ、トランキーロ、焦らないでいきたいと思います(笑)。》
…答え合わせの時間が近付いてきたようです。