Marilyn Mansonが描いた「クソ特別なキミ」
✳︎
Coma White
(from 3rd Album “Mechanical Animals”)
貴女は「完璧なセカイ」からやってきて
「そのセカイ」はボクをすり抜けてった
今日…今日…逃げ出そう
貴女の感覚を奪うクスリ
貴女の言葉を奪うクスリ
貴女を別人にするクスリ
この世のどんなクスリも
貴女を「貴女自身」からは救えないのに
2nd Album “Antichrist Superstar”の、
超攻撃的に退廃した世界観から一変、
ディストピアSF的な世界観において、
恐ろしくポップでデジタルで美しい。
ファンの予想の斜め上を突き抜けた、
そんな3rdでも屈指の「ラブソング」。
コチラの「音楽」カテゴリーでは前回、
Radiohead - Creepに触れたワケですが。
また違った切り口の「クソ特別なキミ」。
“Mechanical Animals”の「ストーリー」。
◆
宇宙人のオメガ(=Marilyn Manson)が不時着をした地球は、
クスリとテレビと商業主義で「巨大な真っ白な星」だった。
(1曲目 - Great Big White World)
そこでオメガは捕獲されて、ロックスターに仕立てられる。
2曲目 - The Dope Show
(ロックスターに仕立てられて自分を見失ってくオメガのPV)
逃げられないよう、クスリ漬けにされる。
9曲目 - I Don’t Like The Drugs (But The Drugs Like Me)
(首の無い警官=クスリに追い回されるオメガのPV…衝撃のオチ)
そんな中、オメガは一人の女性と出逢う。
それが「14曲目 - Coma White」。
(表向きの最終曲…しかし「15」という数字が、アルバムの全編に渡って「示唆」されているのがポイント)
オメガは、彼女に「救い」を求める。
しかし…彼女もまた「完璧な存在」。
すなわち「機械仕掛けの動物」だった。
(3曲目 - Mechanical Animals)
そしてオメガは、
「地球を去る」ことを決意する。
(13曲目 - The Last Day On Earth)
しかし…「どうやって」?
円盤は壊れて、回収されてしまったのに。
その「方法」が。
「自殺」であったことを示唆して。
アルバムは「終わる」。
(隠しトラック - This Is My Omega)
(「Ω=最後」を表した「15曲目」)
(…そしてオリジナル版には、死してなお「7曲目 - Posthuman」「10曲目 - New Model No.15」達に、興味津々で解剖されるオメガの隠し映像あり)
◆
最後に…残された「謎」。
「Coma White」とは「何者」だったのか。
「ヒント」が。
オリジナル版の「アートワーク」に、
「隠されて」いました。
アルバムの「プラスチックカバー」が、
「半透明のブルー」なのです。
ソレをアートワークにかざすと。
「隠しメッセージ」が、文字通り。
「浮かび上がる」…凝った仕掛け。
I NO LONGER KNEW IF COMA WHITE WAS REAL OR JUST A SIDE EFFECT
Coma Whiteが実在したのか、副作用の幻覚だったのか、ボクにはもう判らない。
「男性器の無い両性具有」の、オメガ。
彼が「救い」を求めた、Coma White。
彼女は…始めから「存在しなかった」。
だから「Coma White」。
すなわち「真っ白な昏睡状態」。
それを悟ったオメガは「逃げ出した」。
貴女は「完璧なセカイ」からやってきて
「そのセカイ」はボクをすり抜けてった
今日…今日…逃げ出そう
貴女の感覚を奪うクスリ
貴女の言葉を奪うクスリ
貴女を別人にするクスリ
この世のどんなクスリも
貴女を「貴女自身」からは救えないのに
絶望的に「反転」する「歌詞の意味」。
そんな「救いの無いオチ」を示唆して、
“Mechanical Animals”は「真の終焉」。
…Marilyn Mansonのイマジネーションの全盛期でしたね。
まぁ好き嫌いはさておき(苦笑)、
凄まじい完成度のアルバムです。
ではでは!