社畜な鯱狗の妄想雑記

吾唯足知、即身仏。南無、阿弥陀佛。

無銘の花、鳥葬の城

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「ご覧なさいな、西陽が昇ってきたよ」
キミが笑った。相変わらず、無表情に。

その鳥居の奥には、悪しき仏が棲まう。
ボクらは名前が無いってワケじゃない。
ただ、要らないだけで、知らないだけ。
ビッグバンを誰が聞いていたのだろう。
どうやら、これから確かめられそうだ。

その石段の果には、賢しき狐が棲まう。
お面売りの露天商に、ふと尋ねてみた。
ボクの生皮を剥いだなら、お幾らかと。
売り物になぞ、なりゃしないと、曰く。
刀とは銘で斬るモノ也と、説かれ得心。

その空地の末には、遥けき鴉が棲まう。
凶忌物と書いてマガイモノの無邪気な。
死ヲ招キの寄る辺の浜を、天上に睥睨。
習合を重ねた穢れ、薬喰ひマリア観音
魂は、プラネタリウムのように似せ物。

「ご覧なさいな、朝日が沈んでいくよ」
キミが泣いた。相変わらず、無表情に。