社畜な鯱狗の妄想雑記

吾唯足知、即身仏。南無、阿弥陀佛。

焔の家

✳︎

腐敗した水が、ドボドボと降り注ぐ。
瓶の底から……缶の底から……。
墜落して砕け散る円盤。
出来損ないの、ぼくの宇宙人を殺す。
誘拐という名の逃避。
融解する視界のトゲ。滑らかな烈火。
地球人は、溺れ死ぬために、
生まれてくるのだろうか……?
要塞の図書館を、引き千切るのは司祭。
怪物のように易々と、素手で。土足で。
サンクチュアリに降り注ぐ、屍臭の粘液。
ありふれた殺人の記録。ぼくの宇宙人を。
業火に包まれる巨神。風に揺れるブランコ。
その合わせ鏡は、ぼくの姿見ではなくって。
せめて。喰らうのに理由など要らぬ、
人狼ならば、美しかったのに。
腐った水を浴びせられる。独房の底で。
ゲラゲラと嘲笑いながら。
ペスト医者のような素顔で。
ペスト医者のように清潔に。
ぼくの宇宙人の、
網膜を焼き尽くす。鼓膜を焼き尽くす。
焔の家。
夢幻の罪。無限の罰。オルゴールを巻く。
ハッピー・バース・デー
幸福は義務だ。



閃光!?……そして動悸。
生命が腐った水を飲み干す。
清潔な錠剤を飲み干す。
溺れ死ぬために。
ただ、溺れ死ぬために。