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社畜な鯱狗の妄想雑記

ファシスト見習い。すべては音楽。詩集『円周』。

ヘンペルの死せる匣、ヤヌスの腐れた鴉

✳︎

結局、ミダス王を僭称する私の右手は、
ライカンスロープの衝動に抗えぬまま、
ロスアラモスのメフィストフェレスの、
その複眼で、薔薇を匣に閉じ込めては、
液体窒素の涎塗れの、穢らわしい指で、
握り潰してしまうのだ。粉々の硝子に。
結局、私は匣の猫を殺す。十回だって!
結局、ガイガーカウンターが嗤うだけ。
結局、私は愛することを知らないまま。
月を、ただグチャグチャに握り潰して。
その鴉の半身は、クリスマスのように、
焼け焦げて、祝福された灰でしかない。
孔雀の羽根を啄ばむ、僭称者の混入を、
ヘンペルは知らない。とんだお笑い種!
血塗れの右手がいつか痛覚を喪うまで、
焼け焦げたコイントスを繰り返すのか。
フランケンシュタインのキマイラ同然。
結局、私は愛することを知らないまま。
どうして私が泣く。霊験も無いクセに。
半身を喪ったアンドロギュヌスを僭称。
王国の末路。呪われてしまえ。永劫に!