社畜な鯱狗の妄想雑記

吾唯足知、即身仏。南無、阿弥陀佛。

どうか、劫火のチェンバロを孕ませて

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その雑種犬のハラワタを口腔から裂き、
引き摺り出したネガを白日の下に晒す。
剽窃した激情を冷凍した、灰もろとも、
銀皿にブチ撒けたグレイビーソースの、
一滴までも舐め尽くす。泣き女の歓喜
ナルキッソスの腐乱し尽くした溺死体。
愛でたくも人工大理石の誉れと悟れば、
手中にはパラケルススの酒瓶。どうせ。
鈍色を恢復したマニキュアで刺した舌。
竜神様は見透かす。恋に孔を穿つまで。
そしてエゴン・シーレの傲慢に杭打ち。
白痴のジャンヌの、肛門を犯すように。

グラスに嵐が注がれたなら、乾杯をば。
パリサイ人のクレジットカードを懐に。
黄衣のマティアが、恭しく肉片を供す。
ラス・メニーラスを暖炉に焼べながら。
銀皿にブチ撒けたグレイビーソースの、
一滴までも舐め尽くす。雷鳴を従えて。
そこは深海。底は硝子張り。賓客の間。
喪失した無声映画を、執拗に漂白する。
にも拘らず、いずこにもピアノが無い!
さっきまで冷凍してあったはずなのに。
右往左往する小人の群れを冷ややかに。



エドワードの娘達が、見下ろしていた。