社畜な鯱狗の妄想雑記

愛即是吾唯足知--精進あるのみ也

empress of emptiness

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流砂の底に、沈みゆく免罪符を。
僕らは、我先にと、奪い合う。
腕を引き千切り、脚を引っこ抜き、
頭蓋を叩き割り、臓腑を抉り合う。
血と膿が、地と海を成す。偽書
原罪は、
その聖餅を崇めて、食さぬこと。
血と膿、濃密に立ち込める汗さえも、
本当は。
中空にワイヤーで吊られた、
ガラス張りの無菌室の、
一つの実験に、過ぎないなんて。
匣の中の狂騒。錯乱した獣の咆哮を上げて、
貴女の喉笛を噛み千切る、僕を。
匣の外の静謐。デスクでコーヒーを片手に、
パンチカードを透かした、僕が。
見上げる。中空の脳漿。レギオン。薬局。
この、真っ白な、防音室の中空へと、
八本のワイヤーで吊られた無菌室に。
ボタンを一押し。また一枚の、
免罪符を、投下する。
群れなす亡者のような僕らを、
僕らは。冷ややかに見上げる。
中空の受肉。中空の聖別。
僕らの。血と汗と涙は、デジタル。
量産して、安価に提供する。
そして、僕は。
清潔な白衣を纏った、貴女の、
頬に。そっと。
触れた。指先に。
ぷつりと。赤黒い。珠が。
生まれ。防音室の、
磨き上げられた、タイルの上に。
一滴。溢れ落ちる。
頭上から。降り注ぐ、無限の聖餅は、
まるで、流砂のようだと。
貴女の顔をした、貴女の声をした、
監視カメラが。
嗤う。
中空の神。原罪を、札束で買う。
吸血鬼に。御馳走を申し出る、
殺鼠剤と、解毒剤の、カクテル。
高度に電子化された、免罪符。防音室。

中空。

血と膿に塗れた、無菌室で。
嗤う。