社畜な鯱狗の妄想雑記

吾唯足知、即身仏。南無、阿弥陀佛。

白蛇の庭、敬虔の園

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蒼白に燃ゆる防弾リムジン、
自由落下するサナトリウム

末期の水に産湯を使いては、
白髪三千丈で縊り縄を編む。

沙汰を待てとの沙汰は永劫、
然れど生前もまた然りなど。

キネマトグラフを一瞥して、
嘯くは虚舟より墜つる皇女。

ギヤマンの双眸に智を湛え、
アナスタシアの憂いを伏す。

翠の黒髪を斜陽の赫に染め、
鴉の躯を食めば美味と笑む。

地の国より八つ脚を遣わせ、
ニライカナイの唄を口遊み。

未だ亡くならぬ人とは滑稽、
万人も亡き人には敵わぬサ。

御蚕様の飛翔の神々しさよ、
虚繭に射す後光の眩しさよ。

仕えるは生き恥の煉獄かと、
言問われば傀儡の縄を断つ。

触れ得ぬ額縁に手を伸ばし、
後の先にはギヨタンの慟哭。

赤銅の夜半に言祝ぎを捧ぐ、
香具師の手風琴は蚊帳の外。