社畜な鯱狗の妄想雑記

より良く、生きましょう!

路傍の神話

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【一】
人は。誰しも、一粒の種を握り締め、
生まれてくる。
霜に閉ざされ、懸命に言葉を覚えて、
引き換えに、雪解けの地表の、
いったい何処に、芽吹くというのか。
どうしたって、思い出せないのだ。

【二】
陽は。二人の子を成した。
此岸には火星。全知にして無能の、弟。
彼岸には金星。無知にして全能の、兄。
そして、手毬を一つだけ、残して、
仕事へと、出掛けてしまうのだ。
言葉を操る故。手毬はいつも弟のもの。

【三】
兄は。どうして、己が歩くのか。
鳥は羽ばたき、魚は泳ぐのか。知らぬ。
知らぬが、判っていた。
かくあれかしと歌わせる、弟の嘘吐きも。
面罵する弟のことも、慈しんでいた。
言葉を覚えた、人には、思い出せずとも。

【四】
私は。思いもかけず、其処に芽が、
生えておりましたので。
飛ばされてしまったと、泣く君の、
赤い風船を拾いに、登ってみる所存です。
きっと、金星の辺りに、引っ掛かって、
いるハズさ。よいしょ、よいしょ。