社畜な鯱狗の妄想雑記

吾唯足知、即身仏。南無、阿弥陀佛。

しろがね号、西へ

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嗚呼、銀の列車が、往くよ。
往ってしまう。
僕の肉体を、置き去りにして。
無人の市街を、しろがね号が、往く。

嗚呼、銀の列車が、征くよ。
征ってしまう。
僕の霊魂を、連れ去りにして。
人波の荒野を、しろがね号が、征く。

嗚呼、銀の列車が、逝くよ。
逝ってしまう。
君の理性を、置き去りにして。
虚構の天空を、しろがね号が、逝く。

嗚呼、銀の列車が、行くよ。
行ってしまう。
君の激情を、連れ去りにして。
現実の深海を、しろがね号が、行く。



ディーゼルの、威容を震わせて。

誰そ彼に、警笛を鳴り響かせて。

--嗚呼、しろがね号が、ゆく。